鹿の角や骨は硬い。
長持ちする。
犬も夢中になって噛む。
鹿の骨や角は犬用のオヤツやカミカミとして、とても人気があります。
我が家でもドッグイベントでは必ず鹿の骨を買っていました。
愛犬が嬉しそうにカミカミしている姿に満足していました。
この事実を知るまでは・・・
実は、獣医歯科ではその「硬さ」自体が、犬の歯を傷める原因になることがあると指摘されています。
鹿の角や骨は本当に犬の歯にいいのでしょうか。
鹿角で犬の歯が折れることはある?
あります。
実際に身近なイヌ友さんやお客様から、鹿の角や骨で歯が欠けたなどの話を聞くことがあります。
世界小動物獣医師会(WSAVA)の歯科ガイドラインでは、非常に硬い噛むオモチャなどによる歯の摩耗や破折などのリスクが指摘されています。
2024年の獣医学レビュー「The Benefits and Risks of Chew Treats」でも、骨や硬いチュー(*1)は口腔内や歯を傷つける可能性があり、硬いものを噛むことは外傷性の歯牙破折を起こす原因のひとつとして挙げられています。
*1) チュー:ガムなどの噛むオモチャ
角や骨は犬が強い力で噛んでも、それ自体はほとんど変形しない。
言い換えれば、噛んだものが変形しなければ、その力は犬の歯にそのまま返ってきます。
「長持ちする」は、誰にとってのメリット?
飼い主にとって、鹿の角のような長持ちするチューはとても便利で役に立ちます。
すぐに壊れない。
買い替えも少なくて済む。
喜んで嚙むので、とりあえず大人しくなる。
でも、長持ちすることと犬の歯に適していることは別の話です。
鹿角が長持ちする大きな理由は、その硬さです。
「うちの犬は何でも壊すから、一番硬いものを」
この選び方は、一度考え直してもいいかもしれません。
「犬が喜ぶ」「長持ちする」だけを理由に最も硬いものを選ぶと、歯の破折する危険性を見落とすことになります。
硬すぎるかは「爪」でチェックできる?
硬すぎるチューを見分けるときに役立つ、簡単な目安があります。
Cornell大学獣医学部では、獣医歯科医が使う目安として「thumbnail test(サムネイルテスト)」を紹介しています。爪(サムネイル)で押してへこませることができないほど硬いものは、犬の歯にとって硬すぎる可能性があるという考え方です。
鹿角や硬い骨に爪を立てても、まず簡単には跡がつきません。
ただし、爪で跡がつけば絶対安全、という意味ではありません。
硬さは、犬のカミカミを選ぶ基準のひとつにすぎないからです。
硬さ以外にもある、犬用チューのリスク
噛むものには、歯の硬さとは別のリスクもあります。
- 大きな塊を飲み込む
- 喉に詰まる
- 大きな破片になる
- 消化しきれず、消化管で詰まる
2024年の獣医学レビューでも、犬用チューのリスクとして、歯や口腔内の損傷だけでなく、窒息や消化管閉塞などが挙げられています。
また、2017年には米国食品医薬品局(FDA)が犬用の「bone treats(骨のオヤツ)」について注意喚起し、消化管閉塞、窒息、口や扁桃の傷、嘔吐、下痢などのリスクを挙げています。
つまり、カミカミ選びは「硬いか、柔らかいか」だけでは決められません。
コーヒーウッドなら大丈夫?
CWDCのコーヒーウッドはすべての硬さレベルでサムネイルテストはクリア。
ここで「だからコーヒーウッドなら安心です」と書けば、よくある商品の売り込みブログになります。
でも、そういう話ではありません。
コーヒーウッドもそれ相応の硬さがあります。
CWDCは、硬ければ硬いほど良いとは考えていません。
犬の大きさ、年齢、歯の状態、噛む力、噛み方によっては適さないこともあります。
CWDCは様々な条件で楽しんでもらうために、コーヒーの木の使う部位によって異なる硬さを分類し、7段階の硬さレベルを設定しています。
「一番硬いものを選ぶ」のではなく、その犬の噛み方や歯の状態まで考えて選ぶ。
硬さを分けている理由も、そこにあります。
大切なのは「何を噛ませるか」
犬にとって、噛むことは自然な行動です。
2025年の「Frontiers in Veterinary Science」のレビューでは、噛むことは犬の体や気持ちの健康に関わる大切な行動である一方、噛むものによっては歯の損傷などのリスクもあるとされています。
つまり、
「噛ませるか、噛ませないか」ではなく、「何を噛ませるか」。
という事です。
| 鹿の角 |
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| 骨 |
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| 牛皮ガム |
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| ナイロン |
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| ラバー |
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コーヒーウッド |
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犬が噛むものには、それぞれ長所もあればリスクもあります。
参考資料
- World Small Animal Veterinary Association(WSAVA)Global Dental Guidelines
- Cornell University College of Veterinary Medicine:Risks from a fractured tooth
- Today's Veterinary Practice:The Benefits and Risks of Chew Treats(2024)
- Cornell University:FDA “bone treat” warning(2017)
- Frontiers in Veterinary Science:Functional significance and welfare implications of chewing in dogs(2025)
※本記事は、犬用チュー全般について公開されている獣医学資料や公的機関等の情報を紹介するもので、特定の商品がすべての犬に安全であることを示すものではありません。犬の年齢、歯の状態、噛み方などによって適性は異なります。